ベルルッティ2023年ウィンターコレクション

時間、気楽さ、そして本質。現代において、真のラグジュアリーを特徴づけるのはこうした要素になりつつあります。そしてこの2023年秋冬、ベルルッティが掲げるシーズンテーマは「大脱走」。その最終章となる「Peak Point」が、ウィンターシーズンに向けて展開されます。「大脱走」はコンテンポラリーな着こなしの現実的な場面に則したコレクションで、リリースのタイミングにあわせた4つのチャプターから構成されています。ベルルッティの男性像のために誂えられ、日常生活に対する直感的で制限に縛られないアプローチを反映させたコレクション。移動の多いダイナミックな日常にふさわしい、エフォートレスなエレガンス。一流のクラフツマンシップに根差し、メゾンの歴史から培われたスピリットをさりげなく感じさせる新たなドレスコード。旅行やスポーツなど日常での活動に基づいて、提案されるアイテムは快適性と機能性を体現しています。こうした価値はベルルッティの視点を通して、メゾンの職人たちのノウハウから生み出されるオーセンティックなワードローブのなかに表明されているのです。

「大脱走」の最終章である「Peak Point」では、進化したクラフツマンシップとウェアの構造を通して、悪天候にも対応する冬のワードローブを提案します。

ベルルッティらしい温かみのあるカラーパレットに彩られ、ニットウェアやカジュアルなシルエットのパンツに、しなやかなパティーヌレザーが用いられた軽量なダウンブルゾンといった、極めて洗練されたアウターウェアがレイヤードされます。ベルルッティを代表するレースアップブーツ〈ブルニコ〉も、新たに解釈されました。今回はブーツに加えて短靴のバージョンも登場。スクリットモチーフがエンボスされたレザーを用いたこのシューズは、ハイキングやフォーマルといった既成のデザインコードに揺さぶりを加えます。一方、〈ウルティマ〉の新作ブーツにはライニングにシアリングが採用され、メゾンの靴づくりに登山のスピリットがもたらされています。最後に、この冬のスピリットはローデンウールを使ったバッグにも表現されています。

ブルニコレザーブーツ

〈ブルニコ〉は1938年、女優グレタ・ガルボの注文により、ビスポークのスキーブーツとして誕生し、2011年以来ベルルッティのアイコニックな製品のひとつとなっています。そのゆったりとしたシルエットと機能性は時を経るごとに進化しましたが、今シーズンは原点回帰の感があります。レザーとラバーを合わせたアウトソールは、クラシックなブレイク構造によってアッパーのヴェネチアレザーと縫い合わされます。カーブを描くステッチワーク、さりげないスクリットのエングレービング、パッド入りナッパレザーのシュータン。メタルのフックやリベット、蝋引きの平紐といったディテールはまさしく伝統的なマウンテンブーツそのもの。〈ブルニコ〉はアウトドアにも都市生活にも対応するブーツに仕上がっています。

旅を愛するお客様のご要望に応えるため、2001年にオルガ・ベルルッティがデザインしたシューズが〈ウルティマ〉。一目で冒険に出たくなるシルエットと、スクエアのトゥキャップが特徴でした。今季はヴェネチアレザーのアッパーに、内側が柔らかなシアリングになったナッパレザーを合わせました。かかと部分を優しく包み込むシアリングは、1930年代のボンバージャケットを思わせます。オリジナルよりもやや丸みを持たせたトゥ、メタルのアイレット、ラギッドなアウトソールなど、トレッキングシューズのディテールを踏まえています。こうしたアルピニストのエスプリは、伝統的なボンバージャケットに想を得て、ディアスキンにシアリングのライナーを用いたトートバッグ〈トゥジュールXL〉にも宿っています。