パティーヌの技術
靴を愛する人にとって、地球上で他に類を見ない唯一無二の靴に勝るものはあるでしょうか? ベルルッティのパティーヌは、バリエーションと解釈に無限の可能性をもたらします。
オルガ・ベルルッティは、1980年代にレザーのパティーヌを完成させ、黒と茶色が幅を利かせていた紳士靴の世界に小さな革命を起こしました。 ベルルッティのパティーヌは、クリームと天然顔料を施し、まるで時間と摩耗によって生まれたパティーヌのようにさまざまな透明感と深みのある色を出す、特殊な技術で生み出されています。 伝説の中でオルガは、月が皮革の脱色に与える影響に注目することで、ベルルッティの一つひとつの靴を特徴づける、このカラーとコントラスト、透明感と強度のシンフォニーを発明したと言われています。
ヴェネチアレザー
日本の漆器のように艶やかな深みを持つパティーヌを創り出すには、それにふさわしい土台が必要でした。 1990年代になる頃には、オルガ・ベルルッティは、創造性に満ちた最先端の色を受け入れ、より美しく演出する、しなやかで洗練されたヴェネチアレザーを開発しました。 このカーフレザーにはメゾン独自の鞣しが施されており、靴に格別のしなやかさと密着感が生まれます。 ヴェネチアレザーは、厳選された高品質皮革を使ったフルグレインレザーで、コーティングは行っていません。ベルルッティの靴は、その最も完璧な部分で作られています。
もちろん、ベルルッティでは、靴以外にもパティーヌを使用したバッグ、ベルト、アクセサリーを幅広く取り揃えています。パティーヌはどれも、メゾンのカラリストがすべて手作業で施しています。
職人の秘技
キャンバスを前にした画家のように、カラリストもさまざまな色合いを試し、精油を使いこなし、顔料を調整します。あらゆる大きさのブラシやスポンジ、布など、多様な道具を用いてそれらを塗布します。 ベルルッティのブティックにあるパティーヌの工房では、マスターカラリストが手作業でそれらを作り出す様子を実際にご覧いただけます。 まずは、靴の汚れを落とし、表面のシューポリッシュを取り除きます。 次に、皮革を裸にします。透明なポリッシュで色を明るくした後、天然顔料とさまざまなワックスが豊富に含まれた精油を丸1日かけて根気よく揉み込みます。 その後、顔料と栄養クリームを使用して着色するという時間のかかる工程があります。 最後に艶出しを行い、パティーヌの職人技を感じさせる深みと光沢を引き出します。
パティーヌカラー
お客様は、カラーチャートからお好きな色をお選びいただけます。 豊富なバリエーションが揃っており、ベルルッティの精神を象徴する色や示唆に富んだ名前の色もあります! 「フイユドトンヌ(紅葉)」、「キャビア」、「サンテミリオンレッド」、「ネログリジオ」、そして抜群の知名度を誇るブラウン「トバコ」。「トバコ」は、1895年に制作されたオリジナルの「アレッサンドロ」の温かみのある琥珀色へのオマージュです。
パティーヌが伝えるあなたという人間
あなたという人間を映し出す靴を制作することによって、個性を表現し、アーティストとしての魂を感じさせること以上に美しいものがあるでしょうか。 そんなパティーヌとオーナーの例を2つ取り上げてみましょう。ファッションデザイナーのイヴ・サン・ローランは、オルガ・ベルルッティが彼のために生み出した非常に暗い「ブルーブラウン」を選びました。ブリックレッドやパープルのジャケットを愛用していた精神分析医のジャック・ラカンは、大胆にも靴をそれらのジャケットに合わせました。 ベルルッティのお客様は、靴を芸術コレクションのように扱います。「燃える薪の色」や「上海の夜」といったシェードを注文される方もいれば、月明りの下、庭園で皮革を湿気に触れさせることなく靴にパティーヌを施すための特注の布を注文されるお客様もいます。私たちには詩的で情熱的な物語がいくつもあります。 あなただけのパティーヌの物語は、あなたに委ねられています!
お手入れ
パティーヌは、繊細さと精度を要求する精緻な技術です。 そのため、ベルルッティを象徴するヴェネチアレザー製の靴をお持ちのお客様には、メゾンで最も古くから伝わるお手入れの習慣である初回パティーヌをお勧めします。 15回ほど靴を履いたら、この初回パティーヌを施してください。 それによって、色が安定し、歩いたときにできる履きジワにパティーヌが馴染みます。こうして、お客様のパティーヌと靴は、世界でたったひとつの名品となるのです。
靴の購入時にお渡しした「初回パティーヌ」カードをご提示いただくことで、ベルルッティのブティックであればどこでもこのお手入れを無料でお受けいただくことが可能です。 初回のお手入れ後は、全体的なメンテナンスのために、年に2回、ベルルッティブティックにお持ちいただくことをお勧めします。 このサービスをご活用いただければこれから先もお客様の大切な靴を長くご愛用頂けます。 詳しくは、ベルルッティのお手入れガイドおよびオルガ・ベルルッティによる靴磨きのチュートリアルをご参照ください。